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コミュニケーション戦略環境庁手引書解析: 環境DDの実践と広報/IR担当者への影響

2023.05.24

環境省は2023年5月8日に「バリューチェーンにおける環境デュー・ディリジェンス入門~環境マネジメントシステム(EMS)を活用した環境デュー・ディリジェンスの実践~」と題された手引書を公表しました。この手引書は、EMSを発展させる形で環境デュー・ディリジェンス(以下、環境DD)を実践する方法を説明しています。

広報/IR担当者としての役割は多岐にわたりますが、その中でも環境DDの重要性が日々高まっています。そこでこの記事では、広報/IR担当者が環境DDにどのように対処すべきか、その取り組みの重要性とリスクについて具体的に解説します。

参照元:環境省「環境デュー・ディリジェンスに関するハンドブックの公表について」


環境DDの概要

環境DDは、企業が自社の活動だけでなく、バリューチェーン全体で生じ得る環境への負の影響について特定し、防止、そして軽減するための手続きを指します。具体的には、2018年にOECDが公表した「責任ある企業行動のためのデュー・ディリジェンス・ガイダンス」と、EMSの国際規格ISO14001との親和性を示しながら、環境DDの実践に向けた留意点を提供しています。

環境DDを実施する際の大きな課題の一つは、バリューチェーン全体の情報収集と報告システムの確立です。具体的には、EMSはサプライチェーン・バリューチェーン上の情報収集や報告システムに関して明示的ではないため、調達先情報等の外部とのコミュニケーションプロセスを確立することが必要です。また、人権DDに対する取り組みも強化されており、これに対する一貫した方針のもとで対処することが推奨されています。

広報/IR担当者が直面する環境DDの重要性

広報/IR担当者にとって、環境DDの実施は、企業の持続可能性と信頼性を確保するための重要な役割を果たします。
企業の環境への影響とその管理の透明性は、ステークホルダー、特に投資家や顧客からの評価に大きな影響を与えます。このため、広報/IR担当者は、環境DDのプロセスと結果を明確に伝える役割を果たすことが求められます。

また、広報活動と環境DDの関連性とその重要性も理解する必要があります。広報は、企業の価値と社会的影響を外部に伝えるための重要な手段です。環境DDの取り組みを明確に広報することで、企業は自身の環境責任を果たしているとのメッセージを伝え、信頼性と評価を向上させることができます。

環境DDに取り組まない場合のリスク

環境DDに取り組まない場合、企業は様々なリスクに直面します。これには、環境への影響による法的リスク、レピュテーションリスク、財務リスクが含まれます。例えば、環境法規制に違反した場合、企業は罰金や訴訟などの法的リスクに直面します。

また、環境DDの取り組みが不十分であるとの評価は、企業の評判を損なう可能性があります。これは、顧客や投資家の意思決定に影響を及ぼし、結果的に企業の財務パフォーマンスに悪影響を与える可能性があります。このため、リスクマネジメントの観点からも環境DDへの取り組みは必要といえます。

広報/IR担当者の役割

以下は、企業の広報/IR担当者環境DDに具体的に取り組むための手順の参考例です。

  1. 理解と教育
    まず、環境DDとは何か、なぜ重要なのかを理解することから始めます。OECDが公表した「責任ある企業行動のためのデュー・ディリジェンス・ガイダンス」や、環境省が公表した手引書などの資料を読むことで基本的な知識を得ることができます。また、定期的に関連のセミナーやワークショップに参加し、最新の情報をキャッチアップすることも有用です。
  2. 環境DDのためのチーム構築
    環境DDを適切に行うためには、企業全体での取り組みが必要になります。経営陣や他の部署と協力して、環境DDを推進するための体制を構築します。これには、環境DDの専門チームの設置や、企業全体の方針として環境DDを位置づけるなどが含まれます。
  3. 環境影響の調査
    企業の活動が環境に与える影響を把握するために、定期的に調査を行います。これは、企業の直接的な影響だけでなく、サプライチェーン全体で生じる影響も含みます。その結果を基に、影響を最小限に抑えるための行動計画を作成します。
  4. コミュニケーション
    環境DDの結果と行動計画を、ステークホルダーに対して明確に伝えます。これには、報告書の作成、プレスリリースの発行、ホームページやSNSでの情報公開などが含まれます。また、ステークホルダーからのフィードバックを受け取るための窓口も設けることも有用です。
  5. 継続的な改善と評価
    環境DDは一度行ったら終わりではなく、継続的な活動です。行動計画の実施結果を評価し、必要な改善を行います。また、定期的に環境影響の調査を更新し、新たな影響やリスクを発見するための体制を維持します。

これらのステップは、広報/IR担当者が環境DDに取り組むための基本的なフレームワークです。各企業の事情やニーズに応じて、具体的な取り組み方は柔軟に変えることができます。

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