コミュニケーション戦略不妊治療とコミュニケーション戦略
2023.05.19
厚生労働省は先日、企業向けの「不妊治療と仕事の両立」のためのマニュアルを改訂し公開しました。
この背景には2022年4月から不妊治療の保険適用が拡大され、これに伴い仕事を続けながら不妊治療を受ける人が増えるとされています。
不妊治療を受けながら働き続けるためには、職場環境を整備する必要があります。
今回公開されたマニュアルの初版は2019年に作成され、不妊治療と仕事との両立をサポートするための具体的な手順や事例を紹介しています。その中には、不妊治療を受ける社員に対するハラスメント防止策や、不妊治療に専念するための休職制度の提案も含まれています。そして最近の改訂では、最新の統計データが反映されています。具体的には、夫婦のうち22.7%が不妊の検査や治療を受けたことがあるとされています。
また、厚生労働省は不妊治療と仕事の両立を支援するツールとして、「不妊治療と仕事との両立サポートハンドブック」や「不妊治療連絡カード」なども提供しています。これらのツールは、職場での不妊治療への理解と配慮を促進することを目的としています。
「不妊治療と仕事の両立」についてのテーマは広報の仕事と直接関わりがないように思えるかもしれませんが、リスクコミュニケーションという観点から見ると、その重要性が明らかになります。広報担当者にとって課題はさまざまありますが、その中でも日々の業務において疎かにされがちながらも非常に重要なテーマが「リスクコミュニケーション」です。
リスクコミュニケーションとは、「有事の際に、内外のステイクホルダーと適切なコミュニケーションを図ること。これを迅速に進めるため、平時より準備を進めること。」です。
広報担当者として、職場でのコミュニケーションにおいて、今回のような情報を適切に共有し、理解を深めることが求められます。これは職場での不妊治療と仕事の両立を実現し、働きやすい環境を作り出すことにつながります。
それでは、具体的にどのようにコミュニケーション戦略を進めるべきなのか、以下で詳しく見ていきましょう。
参照元:
・厚生労働省「不妊治療と仕事との両立について」
・不妊治療を受けながら働き続けられる職場づくりのためのマニュアル
リスクコミュニケーションの理解
まず、リスクコミュニケーションを理解することが必要です。リスクコミュニケーションでは、有事の際に迅速かつ適切なコミュニケーションを図るためのスキルが必要になります。そのためには、平時からの準備が不可欠です。具体的には、企業の内外に存在する様々なステイクホルダーとのコミュニケーションの方法や、その際に必要となる情報の把握、発信の方法などを事前に準備し、理解することが求められます。
「不妊治療と仕事の両立」の問題は、その一例といえます。企業の中には不妊治療を受けながら働き続ける従業員がいるかもしれません。また、企業の外部では、仕事と不妊治療の両立に関心を持つ人々や、企業の取り組みを評価する様々なステイクホルダーが存在します。これらの内外のステイクホルダーに対して適切な情報を提供し、理解を深めてもらうためには、広報担当者が適切なリスクコミュニケーションを行うことが必要です。
リスクコミュニケーションの準備
リスクコミュニケーションを適切に行うためには、事前の準備が欠かせません。具体的には、以下の3つのステップを踏むことが重要となります。
①リスクの特定と評価: 不妊治療を受ける社員がいる場合、その社員にとって何がリスクとなるのか、また企業にとって何がリスクとなるのかを特定し、それらのリスクを評価します。例えば、社員のプライバシーの侵害や、職場でのハラスメント、仕事と治療の両立によるストレスなどがリスクとなるかもしれません。
②コミュニケーション戦略の策定: リスクを評価した上で、どのように情報を発信し、ステイクホルダーの理解を深めるかの戦略を策定します。これには、情報発信の手段やタイミング、対象者などを具体的に決定することが含まれます。
③コミュニケーション戦略の実施: 上記の準備を基に、実際にコミュニケーションを行います。情報発信は一方的なものではなく、受け手の反応や意見を取り入れて調整を行うことが重要です。
以上がリスクコミュニケーションの概要と、その具体的な方法になります。企業の広報担当者は、これらの考え方を理解し、適切なリスクコミュニケーションを行うことで、企業の信頼性を高めることができます。
まとめ:広報担当者が果たすべき役割
「不妊治療と仕事の両立」は、今後も企業が直面する重要な課題となるでしょう。企業の広報担当者は、この課題をリスクコミュニケーションの一環として捉え、有事の際に迅速かつ適切な対応ができるように、平時から準備を進めておくべきです。
リスクコミュニケーションは、単に情報を発信するだけではなく、ステイクホルダーとの関係を深め、企業の信頼性を高めるための重要なスキルです。これを身につけることで、広報担当者は企業の価値を高め、社会的責任を果たすことができるでしょう。
この記事が、広報担当者の皆様の活動に役立つことを願っています。
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