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コミュニケーション戦略人的資本とリスクマネジメント:情報開示の重要性と進化する企業の取り組み

2023.04.04

2023年3月期決算から、人的資本情報の開示が義務化され、特に大企業や上場企業を中心に「人的資本経営と情報開示」への注目が急速に高まっています。この状況を踏まえ、企業は今後どのような「人的資本」に関する取り組みを推進していくべきなのでしょうか?

人的資本経営と情報開示の背景

2022年には、政府関係省庁による「人材版伊藤レポート2.0」「人的資本可視化指針」「有価証券報告書での人的資本の開示義務」などのガイドライン策定や法整備が進みました。
さらに、企業価値の評価は財務情報だけでなく非財務情報も重要視されるようになり、特に人的資本情報の開示が注目を集めています。日本では2023年3月期決算から、上場企業を中心に人的資本情報の開示が義務化され、約4000社が女性管理職比率や男性育児休業取得率、男女の賃金格差などのKPIを報告書に記載しなければなりません。

非財務情報の重要性

投資家は企業に対し、株式を介して資金を供給することしかできません。それゆえ、価値創造の基盤である人的資本に関する情報を積極的に開示する企業は、投資家から高い評価を受けることが期待されます。特に、経営陣が「状況を変える能力を持つ優れた人材が揃っている」という点を明らかにすることが、投資家からの要望となっています。
非財務情報の開示と投資家との対話の重要性を理解し、前向きに取り組んでいる企業(主に統合報告書をすでに発行している企業)は、人的資本の開示の大切さを把握し、ターニングポイントが訪れたと捉えています。このような企業は、開示範囲の拡大と質の向上を目指して、積極的に取り組んでいます。一方、これから開示を開始する企業の多くは、積極的な開示が経営上の適切な選択か悩んでおり、慎重な姿勢を取っています。

状況を変える人材のスキルとは?

状況を変えるスキルを持つ人材には、リスクマネジメントができるスキルが求められています。リスクコミュニケーションは、リスクマネジメントの全体を包含した概念であり、今後の時代においては、リスクを適切に取り扱えるスキルを持つ人材が企業にとって非常に重要となります。
一般社団法人日本リスクコミュニケーション協会(RCIJ)では、危機を好転させる効果的なコミュニケーション能力を身につけるためのオンライン認定講座を提供しています。この講座では、リスクの特定や評価、対策の立案や実行、さらにはリスクに関する情報の適切な伝達方法やステークホルダーとのコミュニケーション手法を学ぶことができます。
企業は、こうしたリスクマネジメントとリスクコミュニケーションのスキルを持つ人材を積極的に採用・育成することで、組織全体の危機対応力を向上させることができます。また、リスクマネジメントができる人材を揃えることで、投資家や顧客からの信頼も高まり、企業価値の向上につながります。

人材競争の激化

今後は、少子高齢化に伴う労働者人口の減少によって、企業による人的資本(人材)の奪い合いが激化すると予想されます。企業は競争に勝ち残るために、人的資本経営と情報開示を実践することをますます求められるようになります。企業が優秀な人材を確保し、成長を続けるためには、人的資本情報の開示を通じて投資家や従業員に対する信頼を築くことが重要となります。

政府指針と開示ルールの意義

政府指針と開示ルールの意義 政府が示した指針や有価証券報告書の開示ルールは、企業の担当者にとって非常に有益です。人的資本の開示を行い、投資家と対話が必要という認識までは醸成されていましたが、情報開示にあたっての物差しがありませんでした。投資家と企業の間で、コミュニケーションを少なくともこのレベルで合わせればいいというミニマムの物差しができたところに大きな意義があります。積極的に人的資本を開示する企業には、投資家から高い評価が得られるチャンスが広がっています。
人的資本の開示は、上場企業にとっては義務となりますが、積極的に開示していく企業と、積極的には開示しない企業の間に、大きな差が開くことになります。

開示コストと課題

開示にはコストがかかります。人をアサインして体制を整備し、時間と労力を費やします。そのため、情報開示によって得られる見返りに対して、懐疑的に見ている経営者もまだまだいます。このように、日本における人的資本の開示は、大きく二つの企業群に分かれ始めています。ここに日本における人的資本の可視化・開示の特徴があります。

企業価値への影響

先行する企業群と、様子をみながら進める企業群の間には、現時点では大きな差は開いていません。ただ、1〜2年後には企業価値に大きな差が開いているものと考えます。これは、人的資本情報の開示が企業価値評価において重要視されるようになることが予想されるためです。

企業の取り組み事例

すでに人的資本経営と情報開示に積極的に取り組んでいる企業もあります。例えば、某大手企業は、従業員の健康や教育、ダイバーシティの取り組みを進めることで、人的資本情報の開示を行っています。また、従業員のスキルアップやキャリア形成をサポートする制度を整備し、社員の働きやすさややりがいを向上させることで、人材の定着率を高めています。

さいごに

企業が人的資本経営を成功させるためには、経営層が人的資本の重要性を認識し、組織全体で取り組むことが重要です。また、投資家や従業員とのコミュニケーションを強化し、情報開示を通じて信頼関係を築くことが求められます。
企業は、人的資本経営と情報開示を通じて、持続可能な経営を実現し、社会的・環境的課題にも取り組むことで、企業価値を高めることができるでしょう。今後の企業活動において、人的資本経営と情報開示はますます重要な要素となっていくことが予想されます。

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