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コラム・対談攻めのビジネスに不可欠なリスクコミュニケーション

2021.04.04

「リスクコミュニケーションを企業で考えていくことは、七つの習慣で言うところの第二領域の仕事の一つです。」私たちは講義の中で、例えとして七つの習慣の第二領域の説明をよく使います。重要であるが緊急ではないゾーン。これは主に準備や予防に使うための時間です。次のビジネスの仕掛けのため、攻めのための守りの部分に時間を使うことに該当します。

先日、ある経営者の方からこのような質問を受けました。

「そろそろきちんと広報担当をつけて広報活動をようやく始めようと思うのですが、何がメリットになるのかがピンとこないんです。なんのために企業はお金をかけて人を採用して情報発信するのでしょうか?また、必要なのでしょうか?」

これは本当に広報活動に本腰を入れようとする企業から多く受ける質問です。なぜ売り上げに直結しない広報に力を入れる必要があるのか、なぜ情報発信していくのか、なぜ企業に広報部門があるのか、この答えをお持ちでしょうか?

この核心をついた質問に対する壮大な回答は皆様それぞれにお持ちだと思いますが、最近ではこの手の質問を受けた時には、第一声ではこのように回答します。「広報活動は、攻めのために行う印象がなんとなく強いと思いますが、実は攻めのための守りの機能も担います。企業が目的を持ってビジネスをするならばリスクも当然にあります。リスクコミュニケーションの観点においても広報部門の設置は必要です。」

そう説明すると、「なるほど、うちもリスクは結構ありますね・・・。」と真剣に耳を傾けてくださる企業が増えてきました。攻めのビジネスをやっている会社ほど抱えるリスクは大小様々に数もリスクの規模も増えていきます。攻めの観点での広報機能の充実ではもちろんのことですが、守りの意味での広報機能の充実、つまりリスクコミュニケーションの充実が企業活動の裏支えをしてくれることに気付く経営者が増えてきました。

企業の中で情報を司る機能である「リスクコミュニケーター」の存在は、広報担当が担ってもいいですし、総務担当が担ってもいいのです。対外的な対応が発生するために広報部門との連携は必須ですが、大事なのは攻めのビジネスに必要であるという事実です。

情報発信にもリスクはつきもの

特にスタートアップや中小・ベンチャー企業の場合、メディアから取材されることはとても嬉しいことですし、実際にメディアとつながりを持って新しいことをどんどん発信し外部の視点で評価されることは非常に重要です。

しかしここで気を付けたいのは、取材を受ける体制ができているかどうかで情報発信そのものが大きなリスクとなり危機的状況になるケースがあります。

  1. 企業内に広報担当が不在且つ、自由に各人が取材を受けていた結果、統制が取れなくなり、最終的なデータの確認することなく間違った情報を記者に伝えて誤報を生んでしまった。
  2. 話上手な経営トップが自由に記者に話過ぎて、本当は答えてはいけない顧客がらみの情報まで突っ込んで回答してしまい、顧客との関係性が壊れてしまった。
  3. コメントを求められたからといって、本来の質問の主旨をしっかり理解せずに回答したところ、メディアに露出した際には全く意図と違う報道として外に出てしまった。

広報担当がいない組織では、情報発信する際にも上記のようなリスクがつきまとうケースがあります。リスクコミュニケーションへの感度が高い担当者がきちんと配置されていたらこのような失敗は避けることが可能です。企業経営で攻めのビジネスを行う上では、私たちは大小含めてリスクをきちんと把握して対応する準備をすることが重要です。また、一億総メディア時代と言われる昨今、対既存メディア意外にSNSの炎上によるレピュテーションリスクへの意識は非常に重要です。「うっかり」ではすまないことを未然に防ぐことで安心した攻めの経営につなげることができます。

リスクコミュニケーションへの意識を高めるためにどんなことができるか?

私の印象ですが、経営陣がビジネスの成長に対して意識が高い企業は採用に力を入れようとします。ビジネスは人が作っているからこそを理解しているので採用広報にも余念がありません。また同時に様々なステークホルダーとのコミュニケーション上で起こる齟齬をなくすための努力も怠らない印象があります。これは上場していようとしていまいと、SDGsやESG経営への意識が高いために社会や社員へのコミットを忘れないのです。その情報発信が、意識の高い人の採用に繋がり、結果財務的にも強く尊い精神性を持った強い企業へと好循環を生み出しています。

私のおすすめは、以下の3点です。

  1. 「今月の当社の10大リスクは何か?」を経営陣で毎月話し合う環境を作っていくこと
  2. 身近なリスクに対して対策がどうなっているか気軽にトークできる環境を作ること
  3. リスクが危機に転じそうなときに率直に報告できるカルチャーを醸成すること

お気づきかもしれませんが、まずは「環境整備」です。大抵の経営者はリスク対策が大事であることは当たり前のように気づいていることでしょう。しかしながら、「リスク」という言葉に囚われてしまい大掛かりなことを始めなければ・・・という意識になりがちです。その結果時間ばかりが経過してしまい何も進まない。このような状況になっていないでしょうか?

現場に出ている最前線の従業員と経営者が同じ目線でリスクに対して向き合えることははじめは難しいかもしれません。けれどもそれ無くしては、攻めのビジネスも難しくなってくるでしょう。全員の意識をできるだけ経営と同じくして前に進むためには、経営陣のコミットと従業員とタッグを組むチームづくり、カルチャー作りが必須です。

まずは各組織の大きさに合わせてできる環境整備からはじめてみてはいかがでしょうか?

そして、環境整備に必須なのは皆さん一人ひとりの意識です。経営が発信する情報に耳を傾け、参謀として皆さんが常にRC(リスクコミュニケーション)についての最新事例を把握し共有していくことはきっと経営の力になるはずです。皆様には、全社のリスクセンスを上げていくためにRCについてオープンな場で議論できる素地を作る中心人物になっていただきたいと思っています。

このコラムを読んでいらっしゃる方の中に、「リスクコミュニケーションへの取り組みを経営陣が軽視しているのではないか?」「リスクコミュニケーションの重要性を伝えたいが経営陣にうまく伝えられない」そんな悩みを抱えていらっしゃる方がいれば、是非RCIJ事務局までお問い合わせください。専門のコンサルタントが経営陣の皆様にご説明に伺います。contact@rcij.org

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